タイム・ターナーと「ノヴィコフの首尾一貫の原則」的解釈

シリウス・ブラックを助けるためにタイムターナーで3時間前に戻り、勝手に過去を改変してしまったかのように見えるハリーとハーマイオニー。

しかしタイムトラベルに関するノヴィコフの首尾一貫の原則によると、二人の行動は歴史に組み込まれたもので自由意志などなかったのです(`・ω・´)

ホントかな?

タイムトラベルのパラドックス

タイムトラベルのパラドックスて、そんなの今さらですよね~。

過去に戻って自分の両親の出会いを邪魔したら、自分の姿が消えそうになるっていうシーンが、バックトゥザフューチャーにもありました!

それでほんとに消えちゃったらその先どうなるの~? 過去に戻って自分の両親の出会いを邪魔するはずの「自分」がいなくなっちゃうじゃん!というパラドックスです。

上のダイアグラムでいうと、過去へとタイムトラベルしたビリヤードの玉が過去の自分に干渉することで、その過去の玉は「本来の」ルートから外れ、過去へとタイムトラベルしなくなってしまいます!

自分で書いておきながら実に怪しい解説なので、気になる方は参考サイトをじっくりお読みくださいませ。

参考:
親殺しのパラドックス – Wikipedia
Grandfather paradox – Wikipedia

ノヴィコフの首尾一貫の原則

そのパラドックスを回避するために、科学者が並行宇宙だの別の時間線だの様々な理論を編み出しているわけですが、ノヴィコフの首尾一貫の原則もそのひとつです。

イゴール・ノヴィコフの首尾一貫の原則とキップ・ソーンは、時間を遡るタイムトラベルがパラドックスの危険を冒さずに可能となる一つの見方を提示した。その仮説によると、唯一の可能な時間線は完全に首尾一貫しているものだけであり、時間旅行者が過去に遡って行う行為はすべて歴史の一部であって、首尾一貫性を崩すようなパラドックスとなる行為は決して実行できない。いわゆる決定論と呼ばれる考え方であり、自由意志という観念とは矛盾する。つまりこの考え方でいけば、過去へのタイムトラベルが可能だとしたら、歴史によって個人の行動が決定されることになる。
親殺しのパラドックス – Wikipedia

ノヴィコフの原則によりパラドックスが回避されたダイアグラムがコレ。

Casual loop by BrightRoundCircle

タイムトラベルしたビリヤードの玉が過去の自分に干渉する(そのように決まっている!)ことで、その過去の玉は、将来同じように過去へとタイムトラベルすることになり、「過去に干渉したら、今いる自分はどうなっちゃうのさ!?」というパラドックスが回避されていることがわかります。

つまりビリヤードの行動は歴史に織り込み済みなのです!

過去に干渉した玉は、そのあとどうなるんでしょうね(・_・;

ハリーとハーマイオニーのタイムトラベル

同様にふたりのタイムトラベルも、パラドックスを回避するには以下を満たす必要があります。

  • 一度起きたことは変えられない(決定論なので!)
  • ふたたび過去の自分たちにタイムトラベルしてもらわなければならない

1点目の意味をハリポタ向けに解釈すると、J.K.ローリングさんが一度物語の中で事実として書いたことを、その後、タイムトラベルの中で変えてはならないということです。

2点目は過去のハリーたちに、「実はバックビークもシリウスも助かるんだよ~」ということを悟らせないということ。それがバレちゃうと、彼らはタイムトラベルしなくなるので・・・。

2点目が満たされるように1点目の「一度起きたこと」が決まっているとも言えますが・・・。

というわけで、まったく自分基準で気になるポイントをあげてみます!

バックビークの処刑

第16章 – トレローニー先生の予言 の最後、

There was a jumble of indistinct male voices, a silence and then, without warning, the unmistakable swish and thud of an axe.
Harry Potter and the Prisoner of Azkaban, P.243 Lines -6 to -3

「シュッ、ドサッ」という斧が振り下ろされる音でいかにもバックビークが処刑されたことを想像させますが、処刑されたとは書いてませんね!

これがタイムトラベル後にとうなるかというと、ハリーたちが誰にも見られることなくバックビークを逃がしたあと、

There was a swishing noise, and the thud of an axe. The executioner seemed to have swung it into the fence in anger.
Harry Potter and the Prisoner of Azkaban, P.294 Lines 20, 21

同じように「シュッ、ドサッ」という斧が振り下ろされる音がしますが、実はバックビークが逃げたことを知った死刑執行人が怒りに任せて斧を振り下ろす音なのでした~。

ディメンターのキス

第20章 – 吸魂鬼のキス の最後、

… it was bright as a unicorn. Fighting to stay conscious, Harry watched it canter to a halt as it reached the opposite shore. For a moment, Harry saw, by its brightness, somebody welcoming it back … raising his hand to pat it … someone who looked strangely familiar … but it douldn’t be …
Harry Potter and the Prisoner of Azkaban, P.282 Lines -6 to -4

ユニコーンのようなものにディメンターから救われたハリー、シリウス、ハーマイオニー。

しかし、それが向こう岸へと帰っていき誰に迎えられたのかは、「奇妙に見覚えがある」というだけでハッキリ書かれていません。

これがタイムトラベル後にとうなるかというと、

The Patronus turned. It was cantering back toward Harry across the still surface of the water. It wasn’t a horse. It wasn’t a unicorn, either. It was a stag. It was shining brightly as the moon above … it was coming back to him.
Harry Potter and the Prisoner of Azkaban, P.300, 301

ユニコーンのようなものは、実は未来から来たハリー自身が呼び出した牡鹿の守護霊で、一度物語に書かれた通りに過去のハリーたち3人を助け出し、湖を渡って戻ってきます。

「奇妙に見覚えがある」は父親じゃなくて自分自身だった・・・。ここでもストーリーに矛盾はないですネ。

シリウスの救出

第21章 – ハーマイオニーの秘密 の最後で、タイムトラベル後のハリーとハーマイオニーはバックビークに乗ってシリウスを助け出しますが、このイベントに相当する「過去」の(タイムトラベル前の)イベントは特に書かれていません。

恐らく時間的には、第21章の冒頭、ハリーが病室に横たわりながらスネイプとファッジの会話を聞いている頃でしょう。

マダム・ポンフリーによると、シリウスは単に上の階に閉じ込められているということになっています。

そう思っていたら実は未来から来たハリーたちが救出していた というわけで、ここでもストーリーに矛盾はないです。

引用は・・・、もういいですネ(´ー`)

まとめ

J.K.ローリングさん、ちゃんとノヴィコフの首尾一貫の原則に従って書いてらっしゃる!

とてつもない守護霊を作り出したことに驚くハーマイオニーに対し、いみじくもハリーがこのように語った通りです。

‘I knew I could do it this time,’ said Harry, ‘because I’d already done it … Does that make sense?’
Harry Potter and the Prisoner of Azkaban, P.301 Line -18, -17

「できるとわかってたんだ。前に一度やったからね・・・ 意味わかるかな?」

なんという決定論的な発言! 同じことを繰り返していることの証しですね(笑)

パラドックスのワナ

唯一残念なのは、途中に余談としてはさんだこの内容。

‘ … Professor McGonagall told me what awful things have happened when wizards have meddled with time … loads of them ended up killing their past or future selves by mistake!’
Harry Potter and the Prisoner of Azkaban, P.292 Lines 9 to 12

パラドックスのワナが・・・。気づかなかったことにしときましょう(・・;)