英語で読む ハリーポッターと賢者の石 第1章-3「オレは何をやってるんだ」

奥さんに電話をかけようとして思い止まるダーズリー氏。

原文ではダーズリー氏のバカさ加減が、現在進行形で生き生きと?表現されています。

待てよ、オレは何をやってるんだ

He put the receiver back down and stroked his moustache, thinking … no, he was being studpid.
Harry Potter and the Philosopher’s Stone, P.9

街角でポッターの噂話を聞いたダーズリー氏が不安でたまらなくなって、奥さん(ペチュニア)に電話をかけようとするが、思い止まるシーンです。

歴史的現在

このダーズリー氏の “no, he was being stupid.” から始まる独白部分は間接話法で書かれていますが、日本語版では直接話法、つまり現在形で本人が語る口調になっています。

たとえば、上記に引き続いてダーズリー氏の頭の中を記述している文ですが、

Potter wasn’t such an unusual name.
Harry Potter and the Philosopher’s Stone, P.9

原文では過去形ですが、

ポッターなんて珍しい名前じゃない
ハリー・ポッターと賢者の石, P.10

日本語版では現在形で本人が語る口調です。

これは史的現在、または歴史的現在と呼ばれる手法で、過去の出来事を生き生きと表現するために、日本語ではよく使われます。

歴史的現在は、翻訳とは直接関係しない日本語の表現技法ですが、どこでそれを使うのかという判断が翻訳テクニックということになりますね・・・。

使いすぎると臨場感を産むどころか、わかりづらくなることもありますので注意が必要です。

状態の進行形

また、この文章 he was being stupid は、stupid 「バカである」という状態の進行形になっています。

この記事の冒頭で、”現在進行形で生き生きと表現” と書いたのは冗談で、状態の進行形は一時的にそういう状態であることを表します。

状態の進行形についてはこちらの記事をご覧ください。
ハリポタで学ぶ! being stupid って何だ?(状態の進行形)

やだっ!

She told him over dinner all about … and how Dudley had learnt a new word(‘Shan’t’).
Harry Potter and the Philosopher’s Stone, P.10

おかしなことだらけだったダーズリー氏とは違い、まったくノーマルな一日を終えたダーズリー夫人(ペチュニア)が、ダドリーの様子を語っています。

shan’t は shall not の短縮形で、「やだっ」という意味です。

shall と will の違い(強い決意編)

ちなみにUS版では Shan’t が Won’t に変更されています。

もともとダドリーが駄々をこねる時の言葉なので、話し手の強い意志なり決意なりを表す shall/will の使い方だと思うのですが、その場合イギリス英語の伝統文法では、

  • I, we(一人称)では will を使用する
  • you, he, she, it, and they では shall を使用する

となっています。

このルールに従うとUK版は Won’t のはずですが、実際は Shan’t ・・・。逆にUS版の方が Won’t という・・・。

shall と will の違い(単純未来編)

実は単純未来の文章だと、強い決意の場合とは話が逆で、

  • I, we(一人称)では shall を使用する
  • you, he, she, it, and they では will を使用する

となります。あくまで厳密な文法上は、ですけどね。

このルールを端的に表現する文章がありますのでちょっと引用しますと、

I shall be in Japan, but you will be in New York.
OxfordWords blog

これだとUK版でダドリーが shan’t と言っているのは文法上は納得できますけど、単純未来というところがしっくり来ませんね・・・。

shall と will にあまり違いはないのかも説

これまで文法上のルールを細々書いてきましたが、フォーマルなドキュメント以外では守られることも少なくなってきているらしいです。

またアメリカでの一般的な傾向としては、

  • shall は will に比べて使用頻度が低い
  • アメリカでの shall の使用頻度はイギリスよりも低い

とのこと。アメリカでは shall は死語?とは言わないまでも、せいぜい古臭いというイメージなのかも。

 

こちらのサイトは shall と will の違いについてわかりやすくまとめられていますので、一読をおすすめします。
What’s the difference between ‘will’ and ‘shall’? | OxfordWords blog