ハリポタで学ぶ! ludicrous と ridiculous とリディクラス

ludicrous と ridiculous 。

ともに辞書では「バカげた」「おかしな」「滑稽な」ですが、ネイティブらしき人たちの間では、

  • ludicrous には、笑い・冷笑という要素があるが、ridiculous は単にバカバカしいだけだ
  • 両者にとりたてて違いはない

など意見が割れているようです。

ハリーポッターシリーズでは両方の単語が使われていますので、実際にどのような文脈で使われているか、前者の立場にたって確認してみましょう。
(ここは私の翻訳によるバイアスを排除するため、日本語版ハリポタから引用させて頂きます)

ついでに、呪文のリディクラスの語源についても考えてみます!

ludicrous

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荒唐無稽な話

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第9章「壁に書かれた文字」より、秘密の部屋について聞き出そうと必死のハーマイオニーに対するビンズ先生のセリフ。

However, the legend of hich you speak is such a very senstional, even ludicrous tale
Harry Potter and the Chamber of Secrets, P.113

しかしながらです。あなたがおっしゃるところの伝説はといえば、これはまことに人騒がせなものであり、荒唐無稽な話とさえ言えるものであり・・・・・
ハリー・ポッターと秘密の部屋, P.224

これは ludicrous に、ビンズ先生の笑いというか、冷笑に相当する気持ちが込められているのではないでしょうか。伝説のあまりの荒唐無稽さに対して。

お笑い種

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第12章「ポリジュース薬」より、スリザリンの継承者だと疑われているハリーの述懐。

Harry didn’t mind; it made him feel better that Fred and George, at least, thought the idea of his being Slytherin’s heir was quite ludicrous.
Harry Potter and the Chamber of Secrets, P.157

ハリーは気にしていなかった。少なくともフレッドとジョージは、ハリーがスリザリンの継承者だなんて、まったくバカげた考えだと思っている。そう思うと気が楽になった。
ハリー・ポッターと秘密の部屋, P.313

ここだけ読むと正確には伝わらないのですが、その前に

「したーに、下に、まっこと邪悪な魔法使い、スリザリンの継承者様のお通りだ・・・」
ハリー・ポッターと秘密の部屋, P.312

などと、フレッドとジョージがハリーをスリザリンの継承者ネタでさんざんからかう場面があり、二人が「ハリーがスリザリンの継承者だと思われていること」をおもしろがっていることは明らかです。

そのニュアンスを出すとしたら、こんな感じでしょうか。

ハリーは気にしていなかった。少なくともフレッドとジョージは、ハリーがスリザリンの継承者だなんて、まったくお笑い種だと思っている。そう思うと気が楽になった。

ここもやはり ludicrous に笑いが込められていますね。

ridiculous

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いまいましい髪

ハリー・ポッターと賢者の石 第4章「鍵の番人」より、ハグリッドに促されて昔のことを回想中のハリー。

Harry looked into the fire. Now he came to think about it … every odd thing that had ever made his aunt and uncle furious with him had happened when he, Harry, had been upset or angry … chased by Dudley’s gang, he had somehow found himself out of their reach… dreading going to school with that ridiculous haircut, he’d managed to make it grow back …
Harry Potter and the Philosopher’s Stone, P.47

あのちんちくりんな髪に刈り上げられて学校に行くのがとてもいやだった時、髪は、あっという間に元通りに伸びたし・・・・
ハリー・ポッターと賢者の石, P.89

笑われるような髪型だっただろうという意味では、「笑い」を感じさせる ludicrous の方が適切ではないかと思いましたが、ここはハリー自身の回想なので、ハリーの気持ちとしては笑うところではなく、怒りさえ感じているという意味での ridiculous だったのではないでしょうか。

そういう意味ではここは、

あのいまいましい髪に刈り上げられて学校に行くのがとてもいやだった時、髪は、あっという間に元通りに伸びたし・・・・

の方がハリーの気持ちにはあっていると思います。

バカげた考え

ハリー・ポッターと賢者の石 第17章「二つの顔を持つ男」より、あの方との出会いを語るクィレル。

A foolish young man I was then, full of ridiculous ideas about good and evil. Lord Voldemort showed me how wrong I was.
Harry Potter and the Philosopher’s Stone, P.211

当時私は愚かな若輩だったし、善悪についてバカげた考えしかもっていなかった。
ハリー・ポッターと賢者の石, P.428

これは単にバカだったという意味の ridiculous で想定内ですね。

バカなこと

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第3章「隠れ穴」より、ギルデロイ・ロックハートに熱を上げているウィーズリー夫人がフレッドにからかわれているところ。

‘Mum fancies him,’ said Fred, in a very audible whisper. ‘Don’t be so ridiculous, Fred,’ said Mrs. Weasley, her cheeks rather pink.
Harry Potter and the Chamber of Secrets, P.32

「ママったら、彼にお熱なんだよ」フレッドはわざと聞こえるようなささやき声で言った。
「フレッド、バカなことを言うんじゃないわよ」
ハリー・ポッターと秘密の部屋, P.54

これはしかりつけるようなニュアンスで使われるときの ridiculous で、当然のことながら、ウィーズリー夫人自身はフレッドのセリフをおもしろいとは思っていません。この ridiculous も想定内です。

バカバカしいうわさ

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第5章「暴れ柳」より、マクゴナガル先生の説教が終わったと思ったら、次はハーマイオニーにつかまってしまう二人。

‘There you are! Where have you been? The most ridiculous rumors – someone said you’d been expelled for crashing a flying car.’
Harry Potter and the Chamber of Secrets, P.66

「やっと見つけた!いったいどこに行ってたの?バカバカしいうわさが流れて-誰かが言ってたけど、あなたたちが空飛ぶ車で墜落して退校処分になったって」
ハリー・ポッターと秘密の部屋, P.123

これも同様に、ハリーたちが退学処分になったというウワサに笑いの要素はないですね。ハーマイオニーは真剣に心配しているわけですから。

リディクラス

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リディクラスは ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 に出てくる、まね妖怪 ”ボガート” を退治するための呪文です。

ボガートを笑い飛ばすため、おかしな姿を想像しながら使う呪文だということで、これは ludicrous の方をもじったのかと思いきや、リディクラスのスペルは riddikulus

どうも ridiculous の方をもじったみたいですね。当てが外れて残念というか、ここはこだわって ludicrous の方を使って欲しかったなぁ・・・。

もうひとつおまけにいうと、ラテン語で「バカバカしい」という意味の ridiculus という言葉もあり、これをもじったとも言えますが、ラテン語は英語の遠い祖先なので、どちらだといってみたところで大差はなさそうです。

 

え? ludicrous のラテン語バージョン? やっぱり気になりますよね・・・。機械翻訳によると英語とまったく同じでした。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

リディクラスの方は予想外でしたが、ludicrous と ridiculous については、笑い・冷笑の有無に違いがありそうという結論になりました。

若干、結論ありきの検証だったような気もしますけど。。。

ただあくまでハリーポッターの一部の文章を確認しただけなので、そういう使い分けもあるのかなぁ程度に考えてもらえればと思います。

ここ↓を見てもらえばわかる通り、
adjectives – What’s the difference between “ludicrous” and “ridiclous”?

そもそも使用頻度ではどの時代においても ridiculous の圧勝です。ridiculous の方は何にでも広く使える汎用タイプということなのかも知れません。